この書籍もFMココロの本紹介のコーナーでオススメされていたもの。
図書館の蔵書を借りたのですがかなり予約件数が多くて長く待ったと思ったら「芥川賞受賞作品」だったらしい。
主人公の波多は建物外装リフォーム会社に転職して2年。
それまで社内での付き合いを避けていたところ、同僚に誘われるまま六甲登山に参加する。
その後社内で登山グループが正式に登山部となるなか親睦を図るために参加を続けていた。
そんななかで職人気質のベテラン、妻鹿が登山に参加、登山道を外れて山を登る「バリ山行」をしていることを知る・・・。
バリ山行の「バリ」とはバリエーションルートのことで、整備された登山道ではないルートのことを指すそうです。
ルートの取り方次第では低山でもかなり難易度が高くて過酷。
主人公が勤める会社の業績が悪化して募る不安とバリ登山の過酷さがリンクして描かれています。
関西在住の私には馴染みのある六甲山を主な舞台としているのでより楽しく読むことができました。
読みやすい文体ですいすい読めますが、転職先の中小企業の業績悪化に振り回される主人公の心情を慮るとなにか身につまされるところはありました。