家人の通勤快速、スズキレッツ4が調子悪いというので試乗してみたところ、フロントホイールあたりからゴリゴリした感触が伝わって来ます。
車齢16年なのでいろんなところがくたびれているはずですが、とりあえずフロントホイールのベアリングを交換してみることにしました。
基本的にバイクの部品はメーカーの純正部品を使用するのが間違いがないのですが、ベアリングは規格品なので割高かつ入手に手間のかかる純正品ではなく、手に入りやすいメーカー品を使いました。
信頼のおけるNTNのボールベアリングのなかで「非接触ゴムシールド」タイプを選びました。
レッツ4のベアリングは外側にオイルシールを備えていて水の侵入を防ぐので開放型のシールドが無いタイプのベアリングを使っているので、摩擦が少なくて防塵性、グリスの飛散防止性などの性能のバランスが良いと思われるものをチョイス。
モノタロウのPBで安価なものもありましたがNTN製品でも1個250円ほどなので信頼性を取ります。
ちなみに、「6200番台」(内径10mm、外径30mm、9m厚)日接触ラバーシールド(LLB) バイクのホイールに使われているボールベアリングの交換で一番の難関は古いベアリングの取り外しです。
大抵はフロントホイールの左右に1個ずつのボールベアリングを圧入してあり、その間にベアリングの内径と同じ内径のディスタンスカラーを配している構造となっていて、ホイールの内側から外側に向けてベアリングを叩き出したくても引っ掛ける場所がない。
本来はベアリングブーラーという専用工具を使うべきなのですがきちんとしたものを購入しようと思うと結構高価。使用頻度を考えるとわざわざ購入するのは憚られます。
ネットで検索すると「コンクリートアンカー」もしくはグリップアンカーという、芯を打ち込むことで外径が広がるモノをベアリング内輪に打ち込み、バイクのホイールのベアリングを取り外すことができるらしいということを知りました。
「コーナン」ではアンカーを売ってはいるもののサイズがあまりなく、「コーナンプロ」で探し回ってなんとか6200番台のベアリング内径に差し込むことができる細さのアンカーを入手。
値段は20円くらいのものですが、アンカーは結構太めのものが主流なようでこれを見つけるのには苦労しました。
さて、いよいよベアリング交換の作業に取り掛かります。
バイクをメインスタンドで立てた状態でフレーム下部にジャッキを噛ませてフロントホイールを浮かせてからアクスルシャフトとナットを緩めて抜き取ります。(12mmと14mmのレンチを使用)
フロントホイールを取り外して、車体右側のカラーを抜き取り、オイルシールも外したらベアリングとご対面。
左側はドラムブレーキの奥にベアリングがあるためにオイルシールなどなくホイールを外せば剥き出しです。
試しに指を突っ込んで回してみると確かに多少ゴリゴリとした感触はあるけれど酷く錆ていたりということはありません。
まあ、こんな小さな鋼球でライダーが乗車して走行しているバイクの車重、体重を支え、路面からの衝撃を受け続けているのだから徐々にガタが出たりして劣化するのでしょう。
念のためにベアリングが圧入されている深さを左右とも測定しておきました。
これは、きつく打ち込みすぎてディスタンスカラーがベアリングの内輪を押している状態にしてしまうとマズイし、打ち込みが浅すぎても組み込んでアクスルシャフトを締め付けた時に外側から圧迫されても動作不良になる恐れが。
そしていよいよベアリングの取り外し。 アンカーをベアリングの内側から叩けるように挿入して
適当な金属帽を当ててプラスチックハンマーで引っ叩くと、なんとかベアリングが外れてくれました。
片側が外れたら、ディスタンスカラーを抜き取れば反対側のベアリングは側面を直接ぶっ叩くことができるのでかなり簡単に抜き取れます。
ベアリングを圧入する座面などを綺麗にして
新しいベアリングを圧入。
この時にベアリングの内輪や側面を叩いてしまうとダメージを与えるので外輪を叩くように。
外したベアリングを重ねて叩いても良いのですがプラグレンチソケットが程よい太さだったので圧入治具がわりに活用。
ちょうど良い太さの工具が無ければ、取り外した古いベアリングが治具のかわりに使えそうです。
圧入深さを確認しながら片側を打ち込み、ディスタンスカラーを挿入の上反対側のベアリングを圧入して完了。
あとはもとのように組み上げればオッケー。
試走してみたところフロントからのゴリゴリ感、不快な振動などが解消され、スムーズな動きに戻ったのでヨカッタ。
ただしけっこう難易度は高めのメンテナンス。
腕に自信のない方は素直にバイク屋さんで交換してもらうのが無難かも。(お願いするバイク屋さんも腕の良いところでないと。)