顔の半分が顎という異形の人物、仙波阿古十郎という主人公が謎解きをするという短編集。
たしか高校生の頃、母親が定期的に図書館でたくさんの本を借りてくるのが恒例で、その中に含まれていたのを読んだのが最初。
大学生になって、通学に電車で1時間かかるあいだの暇つぶしに古本屋で手当たり次第に文庫本を買い漁っていたときに見つけて購入し、愛読書の一つになっていた懐かしい本です。
引っ越しのどさくさに紛れてなくしてしまい、ひさしぶりに読みたくなってAmazonで探しても見つからなかったのですが、図書館で借りることができました。
久しぶりの再々読でしたがやっぱりおもしろい。
知的なセンスが粋で江戸時代に風情を楽しめる良作です。
オリジナルの仙波阿古十郎を生み出した原作者、久生十蘭氏の顎十郎捕物帳は、「青空文庫」などで楽しむことができます。
現代では差し障りのある身体的表現なども含まれますが、そこは昭和に書かれた作品なので大目にみたいところです。