図書館に行ったときに犬好きの琴線に触れるタイトルが目に留まり,借りてみた「少年と犬」(馳 星周著)。
物語は,東北の大震災から半年が過ぎた仙台からはじまる。
震災で職を失った男が主人公の犬、多聞と出会い,家族のために犯罪まがいの仕事に手を染める過程で,多聞を守り神として共に連れていく。
しかし,仕事の中で組織の裏切りにあい、命を落としてしまう。
多聞は生き延びた犯罪者のリーダーに引き継がれ,西へ西へと旅をする。
その後、とある夫婦とかかわり、娼婦に助けられ、老人の死を見届けて、5年をかけて辿り着いた目的地は熊本。
東北で被災して、ショックのあまりに心を閉ざしてしまった少年との再会を果たす、というストーリー。
タイトルからはほのぼのとした物語を想像していましたが、多くの人々の死を乗り越えての旅路はとても過酷。
そして、感動のラスト。
あまり多くを語ってしまうとネタバレになるのですが、心に染みる名作。
あとで知りましたが直木賞受賞作品だそうですが納得。